『きかんしゃ やえもん』は、日本の絵本及び古い蒸気機関車の主人公。1959年の出版以来、教科書に掲載されたり、アニメ映画化されたりと、根強い人気があります。
「元祖トーマス」と誤解されることがある為、当項で扱います。
あらすじ[]
長いあいだ働いて年をとってしまった機関車のやえもん。くず鉄にされる運命が待っていたのですが、ある日、交通博物館の人がゆずってほしいと申しこんできました。
—公式サイト
刊行の経緯[]
1950年代当時、岩波書店は外国の児童文学作品を多く刊行していました。そのため、「岩波の児童書は翻訳ばかり」というイメージを払拭しようと日本の絵本が企画され、本作の誕生へと繋がりました[1]。しかし、当時の岩波の児童書は他の出版社と比べて高価だった為、多色刷りと二色刷を交互に使用したり、見返しまで本文を記載したりと価格低減の工夫がなされました[1]。第56刷(2001年9月25日)の改訂版から、通常の造本に修整されました[1]。
やえもんとトーマス[]
『きかんしゃ やえもん』は、日本で60年近く読み継がれている名作なだけあって、「元祖トーマス」と思われることがあります。誤解の原因としては、下表の様に『きかんしゃ やえもん』が出版されてから『きかんしゃトーマス』が日本に上陸するまでにタイムラグがあることが挙げられます。
タイトル | 英国 | 日本 | 備考 |
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きかんしゃ やえもん | 未翻訳 | 1959/12/05 | |
The Railway Series/ 汽車のえほん |
1945/05/12 | 1973/11/10 | トーマスの原作 |
Thomas the Tank Engine & Friends/ きかんしゃトーマスとなかまたち |
1984/10/09 | 1990/10/04 | テレビシリーズ |
年 | 英国 | 日本 |
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1945 | 『The Three Railway Engine』発売(RWSの創刊) | |
1946 | 第2巻『Thomas the Tank Engine』発売(トーマス初登場) | |
1959 | 第14巻『The Little Old Engine』発売 | 『きかんしゃ やえもん』発売 |
1973 | 『汽車のえほん』第6巻まで発売 | |
1984 | テレビシリーズ『Thomas the Tank Engine & Friends』放送開始 | |
1990 | フジテレビ ポンキッキ内で『きかんしゃトーマスとなかまたち』放送開始 |
フジテレビで第8シーズンまで演出を務めた菅野温夫が「日本にも『きかんしゃ やえもん』という童話があったし、受け入れられやすいだろうとも感じました[2]」と話す様に、『やえもん』という先駆者がいたからこそ、日本の子供達にトーマスはすんなりと受け入れられたのかもしれません。「日本では、やえもんが先輩」や「和製トーマス」として覚えておくとよいかもしれませんね。
やえもんのモデル機関車[]
モデル車両 | 1号機関車(イラスト:鹿島参宮鉄道などで使われていたSL[3]) |
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製造国 | イギリス製のSLを基にして日本で製造[3] |
製造時期 | 明治の中頃[3] |
軸配置 | 2-4-2 |
脚注[]
外部リンク[]
- きかんしゃ やえもん - Wikipedia
- きかんしゃ やえもん - 岩波書店