
エドモンド・ウォード社[1](Edmund Ward (Publishers) Ltd.)は、イギリスのレスターにかつて存在した出版社。同業のニコラス・ケイ社(Nicholas Kaye Limited)と合併しケイ&ウォード社(Kaye & Ward Ltd.)となった1967年まで「汽車のえほん」の出版社でした。
歴史[]

フランクリン・エドモンド・ウォード
エドモンド・ウォード社は、レイスビー・ローレンス社(Raithby, Lawrence & Co., Ltd.)の書籍を印刷するために、フランクリン・エドモンド・ウォード(Franklyn Edmund Ward)によってレスター大聖堂の向かい[2]に設立されました。レイスビー社は、彼が1920年から営業担当者、後に取締役として勤めていた会社でした。
第二次世界大戦が始まると児童書が不足しました。エドモンドはこの事態を是正しようと、1941年のタイムズ紙に新人児童書作家の原稿募集広告を掲載しました。最初の出版物は、「
1943年11月、エドモンド社はオードリー牧師の物語の著作権を£25で購入しました[3]。当初、物語は別々の本として出版する計画がありましたが、エドモンド社は1冊の本として出版することを決め、オードリー牧師に第4話の執筆を依頼しました。
しかし、戦時中の紙不足によって出版は延期され、1945年2月に印刷を開始し、同年5月12日に「3だいの機関車」として出版されました。初版は22,500冊刷られ、印刷に£1569かかりました。絵本は、数ヶ月以内に17,000冊と16,000冊の2回重版されるほどのベストセラーとなりました。オードリー牧師は同年7月に2冊目の本の原稿を提出しました。
1952年、フランクリンはエドモンド社の経営から引退し、ロンドンにある同業のストレイカー兄弟社(Straker Brothers Ltd.)に売却しました。ストレイカー兄弟社はニコラス・ケイ社(Nicholas Kaye Limited)も吸収しましたが、“エドモンド・ウォード社”の会社名は残りました。1955年に、編集者のエリック・マリオットをはじめとした多くの社員と会社は、ロンドンのビショップスゲートに引っ越しました[4]。ちなみに、フランクリンは1957年に亡くなるまでレスターで暮らしました。
“エドモンド・ウォード社”の会社名は1967年頃まで使用され、その後はケイ&ウォード社(Kaye & Ward Ltd.)から出版されるようになりました[5]。
刊行物[]
- 3だいの機関車(1945年)
- 機関車トーマス(1946年)
- 赤い機関車ジェームス(1948年)
- がんばれ機関車トーマス(1949年)
- やっかいな機関車(1950年)
- みどりの機関車ヘンリー(1951年)
- 機関車トビーのかつやく(1952年)
- 大きな機関車ゴードン(1953年)
- 青い機関車エドワード(1954年)
- 4だいの小さな機関車(1955年)
- ちびっこ機関車パーシー(1956年)
- 8だいの機関車(1957年)
- ダックとディーゼル機関車(1958年)
- 小さなふるい機関車(1959年)
- ふたごの機関車(1960年)
- 機関車トーマスのしっぱい(1961年)
- ゆうかんな機関車(1962年)
- がんばりやの機関車(1963年)
- 山にのぼる機関車(1964年)
- 100さいの機関車(1965年)
- 大きな機関車たち(1966年)
- Painting Books(1950年、訳:ぬりえ)
- Scenes from Tank Engine Thomas Again(訳:「がんばれ機関車トーマス」編)
- Scenes from James the Red Engine(訳:「赤い機関車ジェームス」編)
- Scenes from The Three Railway Engines(訳:「3だいの機関車」編)
- Scenes from Troublesome Engines(訳:「やっかいな機関車」編)
- Pre-Cut Model Engine Books(1957年、訳:ペーパークラフト本)
- Railway Map of the Island of Sodor(1958年、訳:ソドー島の鉄道マップ)
メモ[]
- 会社のロゴはみずがめ座(Aquarius)を表していて、スローガンは「良い本のしるし」でした。
- “エドモンド・ウォード社”の会社名が最後に使用されたのは1968年で、「ダックとディーゼル機関車」(第三版)のカバーに印刷されています[6]。
- エリック・マリオットは、1947年1月に入社しました。
- 1965年[7]から1967年[5]に出版された「汽車のえほん」のカバー裏には、「Percy the Small Engine, brought to life by Meccano」の広告が掲載されていました。
- 日本において、公式サイトでは「エドモンド・ウォード」、原画展図録では「エドムンド・ウォード」となっています。
脚注[]
- ↑ エドマンド・ウォード社、エドモンド・ワード社とも。
- ↑ 住所は、16 New Street, Leicester, England.
- ↑ 当時の児童書出版業界では、印税と使用料を支払うのではなく、著作権を購入するのが一般的でした。
- ↑ 住所は、194-200 Bishopsgate, London EC2.
- ↑ 5.0 5.1 Small Railway Engines, 1st edn 1967 - ReproJackets
- ↑ Duck and the Diesel Engine, 3rd edn 1968 - ReproJackets
- ↑ Very Old Engines, 1st edn 1965 - ReproJackets
関連人物[]
- エリック・マリオット -「汽車のえほん」の編集者(1947年〜1972年)
- ジョン・ウェルチ -「汽車のえほん」の営業担当者(1949年〜1956年)